上越よみうり新聞('98/2/15)
シンプルな造形美、豪奢な一皿
理想のオムライス探訪記


私の取材日記;

自分もそうなんですが、洋食のコックさんはとかく「いじってなんぼ」の世界に入りがちです。
ところが、ほんとにおいしくて難しいお料理は、シンプルなものに多いように思えます。
オムライスもそのひとつ。変にいじくったオムライスは逆にその魅力から遠のいていってしまいます。
ケチャップの酸味と炒めた玉葱の甘み、トマトの赤と卵の黄色、マッシュルームの食感、バターの香りのするやわらかい卵、数えられるだけのおいしさを大切にかみしめたい〜。まぶたを閉じてストレートに記憶にしまい込みたい〜。そんなお料理だと改めて感じました。

上越よみうりさんから素晴らしい記事にしていただきました。もったいないので、スキャナで読み込んでOCRでテキスト化して、全文を掲載してあります。
おいしさに対する記者のこだわりが読みとれて、とても楽しい内容になっています。

▼以下ぜひご覧ください▼


「どこか、おいしいオムライスが食べられるところ知りませんか」−この企画は本紙M美記者のひとことから始まった。オムライスが大好きで理想を求めてあちこちたべ歩いたが、満足できるものがないという。「新井の新洋軒なら大丈夫。絶対おいしいから」と答えた。というのも、同店は上越地域で現存する洋食屋のなかでいちばん古い大正十四年創業の歴史を持つ。三代目シェフの村越洋一さん(35)は東京・虎ノ門のホテルオークラで修行を積み、洋食屋としての伝統の味と誇りを引き継いだ。県立新井高等職業訓練校の調理課講師(西洋料理)や料理教室の講師も務めており、料理の腕は稚もが認めるところである。 オムライスは以前同店でたべたことがあるが、今もやっているかどうか心配なので電子メールで問い合わせてみた(同店ではインターネットのホームページを設けている)。返信のメールはオムライスへの熱き思いが綿々と綴られた長文のものだった。
 それによると、オムライスは七、八年前に営業方針の変更でメニューからはずしたという。「何でも洋食屋」から、「少し真剣な料理を提供しよう」と、ラーメンやピラフなどとともに姿を消したのであった。
 今はランチでたまにやる程度だが、今回は特別に作ってもらうことになり、M美記者と共に同店を訪れたのである。  →つづき

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